酒類免許の法人成り等

酒類免許の効力は、原則として免許を受けた「人・法人」と「場所」に限られています。

既に免許を有している個人事業主が法人を設立し酒類等の製造業・販売業を引き継ぐ場合や、既に免許を有する法人が他の法人に吸収合併又は新設合併を行い消滅してしまった場合は、免許の効力は消滅してしまいます。このような法人成り等を行った場合で酒類等の製造業・販売業を引き続き行う場合は、新たに申請し免許を受けなければなりません。

酒類等の製造業免許

酒類等の製造者が、法人成り等で製造免許を新規申請し、かつ免許の要件を満たす場合は、その法人成り等が行われる直前においてその製造場で受けていた免許と同一の免許を付与することとされています。※製造場の増加を伴う申請の場合を除きます。

【法人成り等の形態】

イ.法人成り

製造者である個人が主体となって法人を設立する場合又は2以上の製造者が合同して法人を設立する場合

ロ.分割、分離等

・製造者である法人が解散し、新たに独立の人格(法人又は個人)となる場合

・製造者の一部の製造場が、その製造者から離れて独立の人格となる場合。ただし、次の製造場については除外されています。

(清酒、合成清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎(かす取り焼酎及び特産品焼酎以外のもの)、みりん(地場産米使用みりん以外のもの)又は原料用アルコールの製造場)

ハ.法人の合併

法人が清酒等の製造者である法人と合併する場合又は法人と酒類等の製造者である法人が合併して法人を新設する場合

ニ.営業の承継

製造者の3親等以内の家族で、現在その酒類等の製造業務に従事している者が、製造者の同意を得てその製造場及び移出先等をそのまま引き継いで新たに製造業をしようとする場合で、経営内容の実質に変化がないと認められるとき

ホ.営業の譲受け

製造者の営業を譲り受けて、次の酒類の製造をしようとする場合 ※

(清酒、合成清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎(かす取り焼酎及び特産品焼酎以外のもの)、みりん(地場産米使用みりん以外のもの)又は原料用アルコールの製造場)

※以下のいずれかに該当する場合を除きます。

①営業の譲受けに係る酒類の製造免許に期限が付けられている場合

②営業を譲り渡す者が、偽りその他不正の行為により酒類の製造免許を受けた場合

③営業を譲り渡す者が、3年以上引き続き酒類を製造しない場合

④営業を譲り渡す者が、3年以上引き続き酒類の製造数量が法7条2項に規定する数量(法定製造数量)に達しない場合

【免許の要件】

イ.法人成り等に伴う新規の製造免許申請書の提出に併せて、それまで製造してきた既存の酒類等の製造場に係る製造免許の取消申請書が同時に提出されていること

ロ.その新規申請が、次の要件を満たしていること(法10条)

①申請者等が人的要件を満たしていること

②経営基礎要件を満たしていること

ハ.既存製造場と異なる場所において製造しようとする場合には,その場所が場所的要件及び設備要件を満たすこと

酒類等の販売業免許

酒類販売業者が以下の法人成り等を行うことにより新たに酒類の販売業免許を申請し、かつ免許の要件を満たす場合は免許を付与することとされています。

【法人成り等の形態】

イ.法人成り

酒類販売業者である個人が主体となって法人を設立する場合又は酒類販売業者である2以上の個人が合同して法人を設立する場合

ロ.法人の合併

法人が酒類販売業者である法人と合併する場合又は法人と酒類販売業者である法人が合併して法人を新設する場合

ハ.会社分割

会社法の吸収分割又は新設分割の規定の適用を受け、酒類販売業者である会社がその営業の全部若しくは一部を他の会社に承継させる場合で、次のいずれかに該当するもの

・法人税法2条12号の11に定める適格分割又はこれに準ずるもの

・民事再生法の規定により再生手続の開始決定をうけた再生計画又は株式会社産業再生機構法のきていにより支援決定を受けた事業再生計画等に則って行われる分割で、分割事業について営業の継続性が認められるもの

ニ.営業の承継

酒類販売業者の3親等以内の家族で、その酒類販売業者の販売場で現に酒類の販売等に従事している者が、酒類販売業者の同意を得てその酒類販売業者の販売場及び販売先等をそのまま引き継いで新たに酒類の販売業をしようとする場合で、経営内容の実質に変化がないと認められるとき

ホ.営業の譲受け

酒類卸売業者の営業の全部または重要な一部を譲り受ける者から、その譲受けに伴い酒類卸売業免許申請がなされた場合

【免許の要件】

イ.法人成り等に伴う新規の種類の販売業免許の申請書の提出に併せて、それまで営業をしてきた既存の販売場に係る酒類の販売業免許の取消申請書が同時に提出されていること

ロ.その新規申請が、次の要件を満たしていること(法10条)

①申請者等が人的要件を満たしていること

②経営基礎要件を満たしていること

ハ.既存販売場と同じ場所において営業がなされること

ニ.既存販売場が休業場でないこと

法人間M&A

酒類等の製造業・販売業の免許は、基本的には譲渡できません。酒類等の製造業・販売業の免許を取得している法人をM&Aで企業買収する場合は、企業買収する法人が免許を取得している法人に吸収合併されるといった形態をとることが多いです。なお、吸収合併が成立するまでは社名変更や製造場・販売場の移転などは行うことができません。

事業の実態や条件などによって、状況はさまざまです。M&Aを検討されている場合は、許認可DDとして行政書士のサポートをお勧めします。

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