ロシアのシャンパンとは!?
ロシアのシャンパンとは!?
2021年7月2日に、ロシアでこんな法律が成立しました。
<ロシア国内で「シャンパン」の名称を使えるのは、ロシア産のスパークリングワインに限る。>
正式名称のシャンパンが、ロシア国内で販売される際はシャンパンと名乗れなくなる。ということです。。。
そもそもシャンパンとは
— シャンパン、シャンパーニュ、Champagne ―
シャンパンと名乗れるのは、フランス・シャンパーニュ地方で伝統的な製法で作られた発泡性ワインだけです。スパークリングワイン(発泡性ワイン)の中のひとつになります。
フランスの伝統的なワイン産地には、使っている葡萄品種や栽培方法、醸造方法などにそれぞれ固有のスタイルがあり、そのような産地の個性を守るための法的な規制として、AOC(Appellation d’Origine Controlee アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)が、1935年にフランスで制定されました。原産地統制名称の概念です。
AOCシャンパーニュ
AOCシャンパーニュには厳しい規則があります。
- 厳しく制限された生産地域
- 使用ブドウ品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリ、アルバンヌ、プティ・メリエ、フロモントー、アンフュメ
- ブドウの木の剪定方法:ロイヤ、シャブリ、ギュイヨー、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ
- 1ヘクタール当たりのブドウ収穫量の制限
- 圧搾で得る搾汁量
- 収穫時における最低潜在アルコール度数
- 瓶内二次発酵と瓶内澱熟成期間;ノンヴィンテージワインで15か月、ヴィンテージワインでは3年
などです。
さらに規則の最適化があり、
- 1978年:植え付けの高さ、間隔、密度(1ヘクタールあたり8,000本と密植するため1株当たりの果実量が少なくなり、結果的に質が向上)、栽培手法、剪定方法に関する規則の制定。
- 1984年:収穫後の1月1日以前の瓶詰めを禁止。
- 1991年:圧搾所の認定を義務化。
- 1993年:圧搾時、160kgのブドウから得る搾汁を102リットルに規定(以前の規則では150kg)。
上記のような措置が取られています。
原産地統制名称の国際的保護
シャンパーニュ委員会は、主要な輸出先16か国に事務局を構えています。これら事務局は、シャンパーニュの原産地統制名称の、国際的認知と保護に向けて積極的な活動を展開しています。シャンパーニュ委員会の出先機関として機能するこれら事務局は、「シャンパーニュ」という単語の不当な使用があった場合はそれを委員会に報告し、協議による解決、もしくは裁判による解決を図っています。シャンパーニュ委員会と国立原産地名称研究所(INAO)では、AOCシャンパーニュの名称の不正使用に対し、必ず法的手段で対抗するようにしてきました。
ロシアへのシャンパン輸出の今後
シャンパンという名称を保護する動きは世界中な流れにもなってきていますが、今回のロシアの法律はそれに反するものになってしまっています。
この動きを受け、LVMHはロシアへの輸出を一旦ストップし、スパークリングワインにラベルを変更してロシアへの輸出を続けるみたいです。
シャンパーニュ地方で、独特のテロワールの中、厳しい規定をクリアして作られたシャンパン。どこに行っても気軽に楽しめる存在としてあってほしいです。